イベントレポート

小規模塾にこそチャンスがある バーチャル空間で広がる教育の可能性について語る「教育ビジネスの未来戦略」セミナー開催レポート

2025-06-25

少子化やAI技術の進展により、大きな変化が求められている教育業界。特に、数十名規模の小規模な教育機関にとっては、生徒の確保や継続的な学びの提供といった課題への対応が急務となっています。

こうした背景のもと、2025年5月21日(木)にoVice株式会社と株式会社船井総合研究所の共催オンラインセミナー「教育ビジネスの未来戦略 〜バーチャルキャンパスが解決する現代の教育課題〜」を開催しました。セミナーでは、小規模教育機関でも実践可能な戦略や、バーチャルキャンパスの具体的な活用法について議論が交わされました。

本レポートでは、当日紹介された市場環境の変化や成功事例、そして「ovice」を活用した新たな学びの形をご紹介します。

【イベント登壇者】
株式会社船井総合研究所 教育グループ 小川慎太郎さま
oVice株式会社 営業責任者 市川賢典

学習塾市場の現状と小規模塾への影響

最初のセッションでは、船井総合研究所 教育グループの小川慎太郎さまより、「次世代の教育業への進化とは~オンライン時代の教育ビジネスモデル~」というテーマで、市場の最新動向についてお話しいただきました。

小川さまによると、これまで「人口減少による市場縮小」が懸念されてきた一方で、学習塾市場そのものは近年まで横ばいを維持してきたといいます。ただし、その背景には顧客単価の上昇があり、成長を続ける塾とそうでない塾との間で、明確な“二極化”が進んでいるのが現状です。

また、2031年には、学齢期人口が現在と比べて約14〜15%減少すると予測されており、通塾率の低下や単価の頭打ちも懸念されています。小川さまは「本格的な市場の縮小はむしろこれから始まる」と警鐘を鳴らし、小規模な塾ほど、経営戦略の再構築が急務になると指摘しました。

さらに小川さまは、これからの時代において小規模塾が生き残るためには、「モチベーション管理」「コミュニティ形成」「勉強時間の確保」の3つが差別化の鍵になると強調。立地に左右されずに選ばれる塾が増えていく中で、「一人ひとりに合わせた指導」や、「勉強時間を自然と確保できる環境づくり」、さらには「Web上では得られないようなニッチな情報力」がこれまで以上に求められると述べました。

特に、バーチャル空間(メタバース)の活用は、物理的な教室では実現しづらい“学びの環境設計”において大きな可能性を秘めているといいます。生徒同士がつながりを感じられるコミュニティや、学習の習慣を維持できる仕組みをつくることは、モチベーションを保ち、離脱を防ぐ上で重要だと述べました。また、こうした仕組みを導入することで、保護者の転勤や引っ越しといった“仕方ない退会”を防ぎ、平均在籍年数を高めていくことが可能になると指摘しました。

今後、生徒数が確実に減少していく中で、より長く在籍してもらい、教育の質を高めることで適正な対価を得ていくモデルへの転換が、小規模塾の持続的成長に欠かせないとまとめました。

小規模教育機関でもすぐに始められるバーチャル教室

続いて、oViceの市川が登壇し、教育市場の変化と小規模教育機関の課題に対して、バーチャル空間がどのような価値を提供できるのかについて語りました。

市川は、「子どもの数は減っていても、教育投資はむしろ右肩上がり。子どもが少ないからこそ、質の高い教育を受けさせたいと考える保護者が増えている」と分析。また、不登校の子どもが30万人を超えるという社会的な課題にも触れ、「オンラインニーズへの対応と、学びのコミュニティ形成は今後ますます重要になる」と強調しました。

こうした背景を踏まえ、oViceが新たにリリースしたのが、小規模教育機関向けの「ovice campus スターターパッケージ」です。月額3万円で最大30名まで利用可能なこのパッケージでは、オンラインでの授業やホームルームに必要なすべての機能を制限なく活用できるほか、無料レイアウトや有人サポート、運用マニュアルも提供。契約後すぐに利用を開始できる設計となっており、ITリソースに不安を抱える小規模校でも導入しやすい仕組みとなっています。

oviceを活用することで、生徒はログイン後すぐに授業へ参加でき、顔出しなしでも先生やクラスメートとやり取りが可能です。出席管理やログイン履歴も取得可能で、教育機関側の運営もスムーズに。さらに、施錠機能・チャイム機能・インタラクティブホワイトボード・AI文字起こし・録画機能なども備え、オンラインでもリアルに近い学びの体験を実現します。授業後も生徒同士や先生との交流が可能なため、実際の塾や学校のような一体感が生まれます。

また、実際の導入事例も紹介されました。たとえば、株式会社WIALIS(東京都新宿区)が運営するフリースクールでは、「全国から通える」というメッセージを打ち出し、実際に生徒の約65%が関東以外の地域から通っています。また、海外からの参加者もいるなど、地理的な制約を超えた集客に成功しています。

さらに、地域密着型の小規模そろばん教室の事例も紹介されました。生徒数10〜20名規模で運営されているこの教室では、以前は保護者の転勤などにより退会が相次いでいましたが、oviceを導入したことで、引っ越し後も学び続けることが可能に。海外転勤となった家庭の子どもも授業を継続しており、結果としてLTV(顧客生涯価値)の向上に結びついているといいます。

こうした事例は、小規模教育機関にとっても、バーチャル空間を活用することで“物理的な限界を超えた教育の選択肢”が現実のものとなりつつあることが紹介されました。

小規模塾の実践的課題と、これからの可能性に関するパネルディスカッション

イベントの後半では、船井総合研究所の小川さまとoViceの市川によるパネルディスカッションが行われました。小規模塾が直面する課題と、その解決の糸口としてのバーチャルキャンパスの活用について、実践に即した意見が交わされました。

小川さま:現場の実態として、DM(ダイレクトメール)からWeb広告へと集客の手法は変化してきましたが、広告費をかけても費用対効果が合わないという声が多くなってきています。そのなかで問われるのが、「どう差別化していくか」だと感じます。oviceを活用したバーチャルキャンパスは、そうした差別化要素としてホームページなどでも打ち出していきやすい要素だと思います。

市川:たしかに、コロナ禍で一気にオンライン環境は整いましたが、「オンライン授業=動画視聴」のようになってしまって、学びの満足度や参加感が追いついていないと感じています。oviceでは、空間を共有することで「塾に通っているような感覚」をつくれる点が強みですし、他の塾との差別化ポイントだと考えています。

小川さま:既にoviceでは小規模教育機関の導入事例がありますが、先ほどのフリースクールやそろばん教室のような事例では、どのようにその強みを打ち出しているのでしょうか?「バーチャルキャンパス」という仕組み自体を見せているのか、それとも「コミュニティ」要素を強調しているのか、その点が気になります。

市川:「全国から通える」「引っ越しても続けられる」といったキーワードが効いている印象です。「全国から『通える』ってどういうこと?」と興味を持ってWebサイトを見た方に、バーチャルキャンパスの仕組みや使い方を紹介し、理解してもらう流れです。先行して取り組んでいるからこそ、競争優位性も感じていただけています。

小川さま:なるほど、それは確かに今の集客環境において、非常に強い打ち出し方ですね。オンラインでも「辞めにくくなる」「継続しやすくなる」仕掛けがあると、小規模塾にとっては心強いと思います。

市川:辞めにくくなるような仕掛けについては、今後も積極的に開発していく予定ですが、oviceでは、たとえば「フロア機能」を活用して、小3で入塾した生徒が学年を上がるたびに、同じ仲間と一緒に上のフロアへ移動していくという空間設計ができます。これにより、仲間とのつながりが維持され、継続率も自然と上がると感じます。また、教室内に資料や掲示物を置いておけるので、リアルな学びの空間に近い感覚も保つことができ、楽しく使っていただけていますね。

小川さま:中小規模の教育機関では、大手のような広告力や教材開発力には限界があるので、そうした「通い続けてもらえる環境作り」が、最大の武器になると思います。バーチャルキャンパスは、それを支える強力な選択肢になると感じました。

市川:ovice campus スターターパッケージをリリースしたのも、まさにそのためです。小中規模の塾でも、導入しやすく、すぐに始められて、成果につながる環境を整えました。oviceは「場所」や「空間」を提供するツールです。使い方は本当にさまざまで、皆さんの実践に合わせた活用が可能です。今後も事例を積み重ねながら、成功のヒントを共有していけたらと思っています。

ovice campus スターターパッケージについては、以下の専用ページをご覧ください。

https://www.ovice.com/ja/campus/starter-package

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