オンライン学会に欲しかった「立ち話」oViceで1年ぶりに実現

2022-03-18
利用組織名

日本生物教育学会

取材対象者
第106回全国大会実行委員長 中松豊先生、実行委員 奥村雄暉先生
利用人数
のべ300名
企業・イベント概要

一般社団法人「日本生物教育学会」が年に1度開催する全国規模の大会。生物教育の研究者による講演やシンポジウム、ポスター発表や参加者間の懇親会などのコンテンツを2日間に渡って開催。

活用のポイント

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新型コロナウイルス拡大の影響で、学会などのイベントもオンライン開催が主流となってきました。今回お話を伺ったのは、生物教育の向上と発展を目的に、700名を超える教育関係者や研究者、学生によって構成される「日本生物教育学会」。

同学会の全国大会は、2021年はビデオ会議ツールを駆使して初めてのオンライン開催となりました。しかし学会開催において重要な役割を果たしていた「立ち話」ができないことに課題を感じていたそう。そして解決のために、今年2022年はoviceを導入することに。

実行委員会メンバーの方々に、oviceを選んだ理由や、学会運営のうえで工夫したこと、今後の展望など、たっぷりお話を聞いてきました。

2度目のオンライン開催、「立ち話」での情報交換を意識

ーまず最初に、今回の大会の開催概要と、どのような形で開催されたかを教えてください。

今回oviceを使ったのは、学会が定期的に開催している全国大会です。2日間にわたって、講演やポスター発表、懇親会などの様々なコンテンツを用意しています。今回は、のべ300人以上に参加いただきました。

ovice上に4階建てのスペースを作り、それぞれに以下の会場を設けました。

ーオンラインでの開催は初めてですか?

昨年(2021年)が初めてのオンライン開催だったので、今回は2回目です。昨年はビデオ会議ツールを使って開催しました。

予定していた講演などのコンテンツは問題なく運営できていたのですが、今までの大会でとりわけ重要だった「参加者同士のコミュニケーション」に対応できていないことに気付きました。

懇親会や休憩時間に話すいわゆる「立ち話」での情報交換は、大会の大切な役割といえるのですが、これがビデオ会議ツールだとどうしてもやりづらい、という課題がありました。

2021年の開催については、実際に参加者からも「もっと気軽にコミュニケーションができたらよかった」という声もあがっていて、2回目のオンライン開催では何か形式を変えよう、という方針になりました。

ーなるほど。課題を感じていたなか、今回oviceを導入することになった理由を教えていただけますか?

前提として、立ち話のほかにも、例えば話者から聞き手へのプレゼンの際にも、一方通行にしたくないという考えがありました。oviceは、インタラクティブなコミュニケーションが一番しやすいと判断したからです。

oviceについては、学会関係者のなかに、一度使ったことがあるという方がいて、その方から教えてもらいました。

「2Dの画面のなかでアバターを動かして話しかける」形に、現実世界と近い空間という印象を持ちました。oviceを使えば、前回できなかった「気軽で」「インタラクティブな」立ち話ができるのではないか、という期待を抱いて導入を決めました。

▲ポスター発表の様子。各々興味のあるブースに足を運ぶことができ、誰がどこにいるのかもわかる

YouTube×oviceでポスター発表

ー大人数かつ、「講演」「シンポジウム」「懇親会」など様々なコンテンツがあり、なかなか難易度の高い運営だったのでは、と思います。oviceを他ツールと組み合わせて運営したとお聞きしているのですが、どのような運営をされたのか、気になります。

懇親会時の挨拶等はビデオ会議ツールを活用しています。具体的には、ビデオ会議ツールの画面を、YouTubeライブで配信する形です。2つのスペースに分かれた聴衆に視聴してもらうために、このような形をとりました。

ーコンテンツのなかで特に好評だったものは何ですか?

参加者からの感想で特に言及が多かったのは、前回開催できなかったポスター発表と懇親会です。

▲oviceに設けたポスター発表の会場

ポスター発表は、事前に発表者にプレゼン動画を撮ってもらい、その動画をYouTubeに投稿。YouTubeをovice上の固定オブジェクト* に設定しました。参加者がオブジェクトに足を運ぶと、動画が再生されます。参加者はこの動画を視聴し、会場にいる発表者に質問するというはこびです。

この形は「対面開催のポスターセッションと非常に近い雰囲気でよかった」と参加者にも高く評価してもらえました。また、この形には予想していなかったメリットもありました。

*ovice内で動画の設置などが行える、特定の機能を持ったツールのこと

ー予想外のメリット、ぜひ詳しく教えてください。

事前に動画を作ってそれを見てもらう、という形にしたことで、参加者は気になるポスター発表を何度も見返すことができ、また好きなタイミングで視聴することができます。対面での発表ではなかった「参加者の自由度」が担保されたように思います。

またこれまで発表に慣れていない発表者だとどうしても間延びしてしまっていたのですが、2分の動画に収めることから、わかりやすい発表になっていました。参加者からも「簡潔なプレゼンで聞きやすかった」という声がありました。

直接のoviceのメリットではないですが、oviceをベースに考えたポスター発表の形式が、予想外の副次効果を生んでくれましたね。

ー素晴らしいですね。運営のうえで懸念点などはありましたか?

oviceは大会運営に効果的なツールであることには間違いないのですが、参加者にとって「新しいツール」でもあり、慣れない操作でつまづく人は一定数出てきそうと懸念していました。

ー懸念点をどのようにカバーされたのか、工夫があれば教えてください。

まず行ったのが、oviceの使い方ガイドをもとにした「学会向け利用マニュアル」の作成。

「参加者向け」と、画面共有などの操作が必要な「ポスター発表者向け」、「詳細版」の3種類のマニュアルを作りました。また、マニュアルを読む時間がない忙しい人のために、oviceの操作方法をまとめた動画を作り、YouTubeにアップロードしました。

それに加え、oviceに慣れてもらうことを目的に大会開催前に2週間程度のデモ期間を設けて、使うようアナウンスしました。さらに、大会参加者専用のサイトをNotionで作り、各種マニュアルや使用方法のYouTubeリンクなど「このサイトさえ訪れれば、大会参加前の準備は全てできる」というものを用意しました。

こちらのサイトにはポスター発表や講演の動画を載せています。これにより、「どうしてもoviceを使えなかった」参加者たちも大会のコンテンツを視聴できます。幅広い層をケアできるサポートを心がけました。

ーかなり手厚いですね。準備にも時間がかかったのではないでしょうか?

大会の実行委員会メンバーのほとんどが社会人で、他の仕事をしながら大会の準備をしてくれていました。時間を少しずつ確保しながら、マニュアルやサイトの準備を進めていったので、スタートから考えると半年程度かかった気がします。

結果として参加者の満足度も高く、好評の声をいただいたので、この形式で開催できてよかったなと思います。

▲懇親会での学長ご挨拶

「現実に近いコミュニケーション」ができるovice

ー今回できなかったことで、次回以降、実現したいことはありますか?

大会の参加者にとって、初めて会う人と新たに繋がりを持てることも重要です。オンライン上でも名刺交換をしたかった、という声は多かったです。

名刺交換アプリを参加者に案内することも考えていたのですが、oviceやビデオ会議ツールに加えてまた1つツールを増やすとなると参加者にとって負担になると思い、今回は取り入れませんでした。

次回以降はうまく活用していきたいですね。

ーoviceの費用感の印象をお聞かせください。

今回はキャンペーンを利用して費用は発生していませんが、他のビデオ会議ツールと比べるとできることも多く、納得できる価格設定だと思います。より現実に近い形のコミュニケーションを体験できる、という部分にoviceの価値を感じています。この点から、oviceを今後も使っていきたいと思っています。

ー最後に、今回oviceを体験して、今後新たに挑戦したいことがあればお聞かせください。

対面開催をしていた頃の大会は、講演やポスター発表に加え、実験手法を体験してもらうワークショップや企業の展示など、さらに多くのコンテンツがありました。今回はそこまで手が回らなかったのですが、他ツールと組み合わせるなど工夫をしたらこれらコンテンツも実現できそうな気がします。

学会の大会以外にも、研究発表会や交流会などでoviceを使えたらいいなと考えています。また当学会という範疇を越えて、学校間や学会会員間の連携強化など、様々な目的での活用にも可能性を感じています。

oviceは、オンラインが第一の選択肢となることも多い今の世の中で、生物教育の向上と発展という学会の目的に向かっていくうえでの強力なツールだと思っています。これからも大いに活用していきたいです。

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