

全国規模で展開する大手予備校・教育機関。高校生の大学受験対策にとどまらず、探究活動や将来設計に関するプログラムなど、多様な教育コンテンツを提供している。「みらい探究の日(みらい探究プログラム)」は、在塾生・塾外生を問わず全国から参加できるオンラインイベントとして企画され、特別講演・特別講座のほか、講師によるミニ講義や情報ラウンジなど、一日を通じて将来を考えるコンテンツを複数展開した。
河合塾が主催する、「一日のイベントを通じて、自身の興味・関心から将来を考えてほしい」という思いから生まれたオンラインイベント「みらい探究の日」。
2回目となる今回は、開催場所をoviceに変更。全国各地の中高生が参加しやすい環境を整えた上で、社会で活躍するフロントランナーによる特別講演や、未来に役立つ力をつける特別講座など、将来を考えるきっかけとなるさまざまなコンテンツを展開しました。
今回取材したのは、河合塾でoviceを活用したオンラインイベントの企画・運営を担当された徳永さまと鹿山さま。ovice導入前に感じていた課題や、当日の運営で工夫した点、今後の展望までを伺いました。
ー今回のイベントでoviceを活用する前は、どのような課題をお持ちでしたか。

徳永さま:Web会議ツールを活用した授業が浸透し、便利さを感じる一方で、コミュニケーションがどうしても一方通行になりやすいという課題感がありました。
そんな中で、教育分野でも徐々にメタバースが広がり始めました。オンライン上に空間を作ることで、「一方通行」のコミュニケーションを解消し、より主体的に学生たちが学びに参加できる場を作れるのではないか。そう考えて、oviceのようなメタバースの活用を検討するようになりました。
ー今回のイベントは2回目だと思いますが、1回目はどのようなツールを使われていたのでしょうか。
徳永さま:2023年度に開催した前回のイベントでは、3Dのメタバースを使いました。3Dのメタバースは、見た目のリアルさという点で魅力を感じたのが、導入の理由です。
ー差支えない範囲で、1回目のイベントで感じた課題を教えていただけますか。
徳永さま:実際に運用してみると、課題がいくつも見えてきました。
まず、空間内のどこに何があるのかが分かりづらく、参加者が迷いやすいこと。また、3D空間ならではの操作感に慣れず、画面酔いを起こす人も複数いました。アプリのインストールが必須だったため、参加者側の技術的なハードルも高いのがネックでした。
また、運営側としても、掲示板を置いたり、会議室の形を変えたりといったカスタマイズをするのに手間がかかり、イベント用途で使うには難しいと感じていました。
そうした課題感もあり、より参加しやすく、運営側も扱いやすい別のツールを探し始めました。
ー課題の解決策として、oviceを選択した理由を教えてください。
徳永さま:2022年頃からさまざまなツールを試してきており、oviceもその中で試したものの一つでした。
oviceを選んだ最大の理由は、ブラウザで使用できるということです。アプリのインストールが必須だと、参加者への事前案内が複雑になります。その点、ブラウザで動くoviceであれば、参加までのハードルを大きく下げられると考えました。
また、2Dの平面で見られるため、3Dのときのように画面酔いを起こしにくいのも大きな魅力でした。空間内にさまざまなオブジェクトを置き、賑やかな雰囲気をつくれる点も、こうしたイベントに適していると感じました。
ーoviceを活用する上で、工夫されたポイントを教えてください。

鹿山さま:空間設計で一番意識したのは、参加者が迷わない導線づくりです。プリセットのレイアウトを活用しながら、何をどこに配置するか、試行錯誤して決めていきました。
特に力を入れたのが、oviceの操作を理解するための「チュートリアルルーム」の設計です。過去のイベントでは、マイクのミュート解除ができなかったり、ミーティングオブジェクトに接続できなかったりと、基本操作に関するトラブルが発生していました。

そのため今回は、いきなりメイン会場に入室して講演や講座に参加してもらうのではなく、必ずチュートリアルルームを通過してもらう導線にしました。oviceの基本操作を体験した上でメイン会場に進む仕組みにしたことで、当日のトラブルを大きく減らすことができたと感じています。
ーメインの会場は、どのようなことを意識して設計したのでしょうか。
徳永さま:メイン会場の装飾は、エリアごとに担当者を決め、講座の内容に合わせて資料を設置したり、河合塾の情報が見られるような場所を作ったりしました。
コンテンツが増えるほど、空間全体がごちゃごちゃして分かりにくくなるため、映像コンテンツは同じアイコンに統一するなど、参加者がパッと見て分かりやすい空間になるよう意識しました。


ー参加案内や当日のサポートについては、どのような工夫をされましたか。
鹿山さま:イベントへの申込者には、イベント9日前と4日前の2回に分けて、oviceの使い方をまとめたシンプルなPDFのガイドを送付し、必要最低限の操作は事前に分かるよう工夫しました。
また、当日は、職員やアシスタントとして入ってくれている大学生のチームが、参加者に個別で声をかけながらサポートしました。大人数のイベントになると、どうしてもフォローが行き届かない場面も出てきます。そこで、チュートリアルルームでサポートする役、メイン会場に入って来た人を案内する役など、役割を分担し、困っている参加者を素早くサポートできる体制を整えました。
ーoviceを運用するなかで、印象に残っているエピソードがあれば教えてください。

鹿山さま:参加者アンケートにあった、「顔が見えない状態だったので、会話がしやすかった」という声が印象に残っています。
表情が見えると、相手の反応が気になり、かえってプレッシャーを感じてしまうこともあります。アバターであれば、顔出しがないため発言のハードルが下がり、会話にも集中しやすかったのだと思います。
そのほかにも、「パソコンから手軽に参加できるため、時間を柔軟に使えて参加しやすかった」「アバターで動き回りながらいろいろ見ることができたので、“参加している感”があって良かった」といったコメントも寄せられました。
オンラインでありながら、自分で空間内を移動し、興味のあるコンテンツに触れられる。「実際にそこにいるような感覚」で参加できるのは、oviceならではの良さだと感じています。
ー今後、oviceをどのように活用していきたいと考えていますか。
徳永さま:今回のイベントでの反省点をきちんと振り返りつつ、夏に同様のイベントを実施しようと考えています。今回作ったチュートリアルルームや、イベントを行った空間の設計、運営の工夫をさらにブラッシュアップしながら、より多くのコンテンツを盛り込んだイベントにしていきたいです。
また、イベントとは別の取り組みとして、河合塾内での別部署による活用も含め、さまざまな場面で活用できる可能性があると感じています。学びの場における対話の質を高めるサービスとして、これからもoviceを積極的に活用していきたいです。