バーチャル空間で「物産展」ショッピングらしい“目的なくぶらぶら”が実現

2022-10-20
利用組織名

ギグワークスアドバリュー株式会社(公式サイト:https://add.gig.co.jp/

取材対象者
ビジネスディベロップメント本部 梅木さん、山内さん、大西さん
利用人数
約200名(物産展1回あたり)
企業・イベント概要

全国の通販事業者・小売業者を対象に、マーケティングから販売・運用の支援を行う。

活用のポイント
  • バーチャル空間で物販イベントを開催。来場したお客様と、ovice上の店舗でスタッフが会話
  • 商品や店舗をより理解し、ファンになっていただけるチャンスに
  • お会計はECサイト、またはoviceの会議室で
  • お客様同士が会場内で会話する姿も

ギグワークスアドバリュー株式会社が主催する「GiGMaオンライン物産展」は、oviceに入場したお客様に買い物を楽しんでいただくイベントです。バーチャル空間で現実と同じような購買体験を提供するこのイベントは、これまで6回開催されています。「リアルな購買体験」を実現するためのレイアウトの工夫や今後の展望などを聞いてきました。

※この記事の内容は2022年10月時点のものです。

「EC集客」では足りない、ブランド理解やファン化 バーチャル空間でねらう

ーギグワークスさんが提供している「オンライン物産展」についてお聞かせください。

大西:
「GiGMaオンライン物産展」は、oviceを利用した物販イベントです。複数の企業様に、私達が用意したバーチャル空間に出店いただきます。

このバーチャル空間にお客様が来場し、店舗でスタッフと会話をし、商品を購入していただく。リアルと同じ購買体験をバーチャル上で再現することを目的としています。

初めてオンライン物産展を開催したのが2021年10月で、その後は3月から6月まで毎月開催し、直近では9月に開催していて、これまでに合計6回実施してきました。

開催ごとに新たな課題に気付きますので、回数を重ねるごとに運営をアップデートしています。

▲2022年6月開催時の会場

ーこういった取り組みを始めようと思われたきっかけは何ですか?

梅木:
弊社はこれまで、通販を行う企業様とのお取引を数多くしてきました。

ご存知かもしれませんが、通販業界はスマホの普及などもあり、ここ10年右肩上がりなんですね。一方で、大手や中堅企業のお客様と会話してお悩みとして聞いていたのが「顧客離れ」。市場の拡大に応じて新規参入も増え、お客様が他企業にとられる、という悩みをよく聞きます。

今の通販市場のメイン、ECの場合、集客はインターネット上のプロモーションが主な手段です。しかし、それだけでは新規顧客獲得や既存顧客のLTV向上はなかなか見込めません。

そういったお話を聞くなかで、オンラインにおいて次世代のサービスを何か提供できないかを考え、「オンライン物産展」のアイデアにたどり着きました。

リアル店舗と同じように、お客様と直接コミュニケーションをとることができれば、商品や店舗をより理解し、ファンを新たに生むことができるのではないか、と考えました。

▲2022年3月、4月の会場。チャット機能でお客様を呼び込みする様子

ーとても斬新なアイデアだと思います。実現するための手段として、oviceを選んだ理由を教えてください。

梅木:
もともと弊社ではoviceを普段から利用させてもらっていました。気軽に話しかけたり、会話ができたり、リアルと近いコミュニケーションがとれることが印象的で、今回の物産展でも活用させてもらうことにしました。

▲2022年5月開催時の様子

既存事業の強みも活かし“店舗さながら”の購買体験を設計

ーオンライン物産展のレイアウトはどのようになっているのですか。

大西:
店舗ごとにエリアを分けて出店いただいています。

それぞれの企業エリアには、商品の紹介動画が埋め込まれています。また、クリックすると商品の詳細がわかるオブジェクトを設置しています。これにより、「ここがどのようなお店で、どのようなものを売っているか」来場者が好きなタイミングで理解できるようになっています。

お客様は、必要があれば店舗スタッフと会話します。

▲各店舗に動画が埋め込まれている様子。商品画像に商品詳細があり、YouTubeのマークに近づくと動画が再生されるようになっている

ー会計はどのように行われますか。

大西:
店舗ごとに用意された会計レジにて、名前や住所などの発送情報をおうかがいします。会計時のコミュニケーションには個人情報が多いため、レジのエリアは鍵をつけています。レジのための会議室は、一店舗につき、2つ設置されています。

ーオペレーションが周到に設計されている印象です。

梅木:
リアル店舗の再現は一番強く意識しています。買うか買わないか迷った時に、直接スタッフに聞いて決めることができるようなレイアウトにしているのです。

ちなみに弊社はコールセンターを運営していて、発送情報のヒアリングなどについては、全く同じシステムを反映しています。

▲スタッフによる商品説明

ーバーチャル空間での商品販売ということで、工夫された点があれば教えてください。

大西:
会計処理は、スタッフとのコミュニケーションによる対応以外にも、専用のECサイトを用意しました。お会計待ちが増えてしまった時に、お客様を待たせないようという意図です。

同様に、クレジットカード情報を口頭でお聞きすることはできないため、カード決済希望のお客様にもECサイト経由での購入をお願いしています。

山内:
今後の計画ですが、一般のお客様向けのラウンディングページ(LP)も常設します。開催の度に新たなLPを作って開催情報だけを告知する形では、LPを活かしきれません。この先の開催スケジュールを常に案内できるウェブページを用意して、興味を持っていただいた方に会員登録いただき、開催が近づいたタイミングでメールでご案内できれば、と考えています。

oviceは新しいツールであるため、一般の来場者にとっては馴染みが薄いものです。実際、今までの物産展で、一瞬来場して、全く動かずしばらく経つとアイコンが消える、といった現象を何度か目にしています。せっかく来たのに操作がわからず退場するというのは非常にもったいないことだと思っています。

これまでも、操作に慣れていただくために、開催前でもoviceを利用できるデモエリアを用意していました。4000アクセス中200人くらいがデモエリアで体験をしていたので、需要のあることを理解しました。今後も、操作に戸惑うことがないような工夫を続けていきたいと考えています。

ショッピングらしい「目的なくぶらぶら」が体験できるように

ー印象的だったお客様の反応にはどんなものがありますか?

大西:
以前の開催で、ある企業様のファンの方が集まって、チャットやビデオ通話で盛り上がっていました。リアルではなかなか会わない人たちがオンライン物産展で繋がっていたのは、とても印象に残っています。

山内:
新型コロナが今より流行していた時に、今までは当たり前にできていた「目的もなくぶらぶらお店を見て回る」経験ができて新鮮だった、という声をお聞きしました。

買うものがはっきり決まっているECサイトの買い物体験だけでなく、リアルと同じように「まだ見ぬ商品との出会い」を実現できて、非常に嬉しく思います。

▲バーチャル物産展の会場で、来場した方がチャットで会話を楽しんでいる様子

商品ジャンルを増やした「バーチャル百貨店」が目標

ー引き続き物産展は継続されていくとのことですが、今後の展望を最後にお聞かせください。

梅木:
最終ゴールは、弊社のビルをバーチャル上に建て、バーチャル百貨店を作ることです。いろんな企業の商品を買える、バーチャル空間内のデパートを作りたいと思っています。

今は食品メインで、例えるなら「デパ地下」に着手しています。次は1階の美容商品、2階3階のアパレルといったように、徐々に売る商品の幅を広げていくイメージで、長期的には「この立地で店舗を構えるとこれくらい売れる」といった情報をもとに、バーチャル空間内に不動産価値を生み出したいです。

そのためにも、今の物産展という形で開催を積み重ね、「バーチャル購買体験」の認知を多くの人に広げていきたいです。

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