夢見る株式会社は、年長から通えるロボットプログラミング教室「ロボ団」を全国100教室にて、6000名以上の子どもたちへ、展開しています。「好きを学びに 社会とつながる」を大切にし、好奇心とやり切る力を育みます。全国に100以上の教室を展開し、「主体的な学びが実社会とつながる経験」を届けています。
全国約120教室で展開するロボットプログラミング教室「ロボ団」を運営する夢見る株式会社。同社は、「好きを学びに社会とつながる」というビジョンのもと、子どもたちが主体的に学び、社会と関わる力を育むことを目指してきました。しかし、リアルな教室をベースとした学習環境では、地域を越えた交流の機会が限られており、“つながり”をどう実現するかが大きな課題となっていました。
そこで同社が選んだのが、バーチャル空間での学びを可能にし、それぞれの場所に関係なくつながれる「ovice」。2024年から、ロボ団の上位コースである「イノベーターネクスト」において、oviceの活用を開始しました。全国の生徒が自身の制作物を教室の垣根を越えて全国の生徒と共有し自然な交流の場を生み出すとともに、子どもたちの行動やエンゲージメントを可視化することで、教育効果の検証や改善にもつなげようとしています。
今回は、そんなロボ団でのovice導入の背景や活用の工夫、保護者や子どもたちの反応について伺いました。
ー 改めて、ロボ団の事業内容や役割についてお聞かせください。
清水さま:ロボ団は「好きを学びに社会とつながる」を掲げ、ロボットプログラミングを通じた教育を全国で展開しています。単なるプログラミングスキルの習得だけでなく、子どもたちが主体的に取り組み、自分の考えを持って社会にアプローチできる人材の育成を目指しています。
ロボットプログラミングは重要なスキルですが、それを身に付けることに加え、そうしたスキルを通じて学力や学習力の向上、さらには幸福度の向上を図ることを目指しています。現在、関西圏に直営の18教室を持ち、フランチャイズを含めると全国で約120の教室を展開しています。
ーovice活用前はどのような課題をお持ちでしたか。
清水さま:「好きを学びに社会とつながる」をかかげつつも、リアルな教室での学びが中心となる中で、特に“つながる”という部分をどのように実現するかに課題を感じていました。
また、1教室あたりの人数にも上限があります。色々なプログラムを展開していこうとしているなかで、通ってもらえる人数の上限があるというのは非常にもったいないと感じていました。そうした意味でも、場所や時間の制約にとらわれずに学べるオンライン環境を構築する必要性を強く感じていました。
平さま:特に、全国規模で展開している私たちにとって、各教室がつながる機会は大会の時くらいしかありませんでした。本来なら相互に交流することでさらに成長できるはずなのに、思うように“つながり”が生まれていなかったんです。日ごろの授業での交流ができれば、大会の時だけでなく、もっと子どもたちの将来の可能性を広げられるつながりを作れると考えていました。
ー課題の解決策としてoviceを選択した理由を教えてください。
清水さま:機能が豊富でありながらも、初期導入コストを抑えやすかったのが、oviceを選んだ理由の一つです。子どもたちがどれくらいリアクションをしたのか、発言は何回くらいしたのかなど、子どもたちのエンゲージメントデータが取れる点が大きかったですね。他のツールでは、そうしたデータが見えにくく、教育効果の検証が難しいと感じました。
教育は属人的になりがちなので、例えばどの施策に効果があったのかを検証する際、個々人の感覚に頼ってしまうことが多いです。そのため、客観的なデータに基づいた検証ができる環境があることは非常に重要だと考えていました。子どもたちの反応や行動をデータとして可視化できることで、教育効果を検証し、施策の改善にもつなげやすいと考えました。
また、oviceは開発スピードが速く、積極的に機能改善している印象を受けたのも、導入を決めた理由の一つです。oviceを含めた複数のサービスに問い合わせをしましたが、oviceは返信が早かったのも印象的でした。ツールの使い方だけでなく、私たちの事業内容や教育業界に特化した観点でのアドバイスをいただけたことで、「信頼できるサービスだな」と思えたのも導入の決め手となりました。
ーいつ頃から、どのようにoviceを活用されているか、改めて教えてください。
平さま:2024年10月に導入し、主に「イノベーターネクスト」というカリキュラムを受講する生徒がアクセスする環境を構築しています。生徒たちはovice上で教材を閲覧しながらレッスンを受けています。直営校とフランチャイズ全体で、oviceにアクセスしうる人数は約500人ほどです。
奥田さま:1回のレッスンでは30〜40人ほどがアクセスしています。また、2024年度はovice上で合同発表会を実施し、関西圏の8校舎から約60人の生徒が参加しました。
ー自宅や教室など、さまざまな場所からアクセスされているということでしょうか。
清水さま:基本的に、イノベーターネクストに通っている子どもたちは、各教室でレッスンを受けながらoviceにつないでいます。
ただ、例えば同じ時間帯に尼崎の子どもと群馬の子どもが同じovice上でレッスンを受けることで、自然なつながりを作れるようにしています。教室を超えた積極的な交流はまだまだこれからですが、イベントなどを通じて「ovice上で話しても良いんだ」という認識を広げ、自然と会話が生まれるような環境作りをする予定です。
ーoviceを活用する上で、工夫されたポイントは何ですか。
奥田さま:子どもたちが「入りたい」と思えるような空間デザインを意識しました。さまざまなWebサイトを参考にしながら、静止画だけでなく、動きのある要素を取り入れることでワクワクできるような空間にしています。たとえば、看板を浮かせたり、空間全体のレイアウトに遊び心を持たせたりと、oviceにアクセスすること自体が楽しみになるような工夫を重ねました。
清水さま:そうした空間づくりに加えて、実際の学びの導線も重要だと考えました。レッスンで使う教材はovice上に配置し、子どもたちがすぐにアクセスできるよう工夫しました。
以前はiFrameを使用していましたが、大人数が一斉にアクセスすると動作が重くなるという課題があったため、現在は別タブで開く形式に変更しています。ただ学ぶ場というだけでなく、使いやすいレイアウトにすることで、「またアクセスしたい」と思ってもらえる空間を目指しました。
ーovice活用したことで感じた変化や、印象的だったことを教えてください。
奥田さま:ある子どもが「教室が2つできた!」と喜んでいたのが印象的でした。oviceは子どもたちにとってなじみがないかと思い丁寧に説明したのですが、とてもスムーズに受け入れてくれましたし、自然にリアルな教室とoviceを行き来する感覚を持てた結果、そんなコメントが出たのだと思います。
また、oviceで“つながる”ことができたことで、子どもたちから「自分の作品をより多くの人に見せたい」といった発言が出てきたのもうれしい変化でした。直接ovice上で教室を超えた交流をするのはこれからですが、同じ空間で授業をしている子どもたちのアバターが見えることで、「ロボ団が他の地域にもある」という感覚を持てていると感じますし、「他の地域の人とつながれる」ということを子どもたちが認識できたのは、大きな一歩だと思います。
自発的に家庭学習をする子も増えた印象です。家にいてもoviceで仲間とつながれるので、これまで以上に自習を楽しんでいると思います。ovice上のチャットでは、子どもたち同士が互いに教え合う姿も見られます。
清水さま:子どもはもちろん、保護者の方からも良い印象を持っていただけていると感じます。以前ovice上で授業をしていた際、フォローが必要そうな生徒に近づいていったところ、その生徒とお母さんの会話が聞こえてきたんです。そこでお母さんが「他の地域の先生に教えてもらうこともできるんだね!」と言っていたのが印象的でした。oviceのような空間を使った授業を、前向きに捉えていただけたと感じました。
平さま:oviceを活用してから、全国の講師同士のつながりも生まれている印象もあります。普段は会う機会がない先生たちが、キックオフミーティングなどで簡単につながれるようになりました。
以前お会いしたことのある講師の方と、ovice上で再会したのですが、わざわざ私のアバターに近づいてきて、すごく話したそうにしていたんです(笑)oviceだと、ミーティング後に話したい人同士が自然につながって交流できるのが、本当におもしろいなと感じた出来事でした。
ーoviceを教育において活用する上で、どんな可能性があると感じていますか。
清水さま:私たちはロボットプログラミングに特化した教育を提供していますが、oviceの活用事例を見ると、不登校の子たちを対象にした取り組みなど、教育のさまざまな分野で使われている印象があります。そうした、これまでの枠にはまらない教育の形を実現できる可能性を秘めていると感じますし、ロボ団としてもさまざまな場面で活用していけるのだろうなと感じることが多いです。
奥田さま:コロナの時のオンライン学習は「デジタルを使って、提供されたコンテンツを学ぶ」という印象でしたが、oviceではデジタルでありながら誰かと対話しながら学べるのが大きな違いだと感じます。
ー貴社の方針に基づいた取り組みとして、今後どのようにoviceを活用していきたいかを教えてください。
奥田さま:ロボ団には、電車が好きな子、ロボットが好きな子など、何かに強くひかれる“好き”を持っている子どもたちがたくさんいます。そうした同じ興味を持つ仲間同士が、地域の枠を超えてつながれる場を作れるのが、oviceの魅力だと感じています。
これまでは全国の教室がつながる機会は大会のときのみでしたが、今後は勝ち負けのないレッスンやイベントを通じて、もっと日常的に交流できる場を作っていきたいと考えています。
平さま:まさに、その「日常の中のつながり」は、子どもたちに限らず、先生同士にとっても大きな価値があります。エンジニア出身の先生や異業種から教育に関わるようになった先生など、多様なバックグラウンドを持つ講師が全国にいます。
普段はそれぞれの教室で完結してしまいがちですが、oviceを活用すれば、そうした先生たちが気軽につながり、学び合える場を作ることもできる。子どもたちの成長を支える大人同士のネットワークも、今後さらに広げていきたいと思っています。
清水さま:子ども同士、先生同士と、さまざまな“つながり”が生まれている今、次のステップとしては、より多様な学びのスタイルに対応することが重要だと考えています。現在oviceは「イノベーターネクスト」で活用していますが、今後は完全オンラインで学べる「フロンティア」という新しいコースの展開も計画しており、そこでもoviceを軸とした環境づくりを進めていく予定です。
また、ロボ団の生徒に限らず、さまざまな興味や価値観を持った子どもたちが集えるようなイベントも企画中です。リアルとバーチャルを柔軟に行き来できる学びの場を通じて、「好きを学びに社会とつながる」という私たちのミッションを、さらに広く実現していければと考えています。