

京都府北部(福知山・綾部・舞鶴ほか)を中心に5校舎を展開する地域密着型の学習塾。地元高校・大学への合格支援を軸に、日常的な定期試験対策から受験対策まで幅広く対応している。
京都北部に根ざした学習塾「福岡ゼミナール」。福知山・綾部・舞鶴などに5校舎を構え、地元の子どもたちの学びを創設以来47年間(2026年時点)支え続けています。
しかし、遠方から通塾する生徒の増加、Web会議ツールでは補いきれない授業前後のコミュニケーションなど、従来の教室運営やオンライン授業だけでは対応しきれない課題も見えてきていました。
これらを解決するために選んだのがoviceです。今回は、福岡ゼミナールの早稲さまに、ovice導入の経緯と具体的な活用方法、そして地域教育への展望についてお話を伺いました。


ーovice活用前、どのような課題を抱えていらっしゃいましたか。
早稲さま:コロナ禍では集団授業を停止せざるを得なかったため、授業動画やWeb会議システムを活用した授業に切り替えて対応していました。コロナが明けてからも、遠方から通っている生徒の一部は、そのままオンラインで受講を続けていました。
ただ、Web会議システムでの授業には、やりにくさも感じていました。授業そのものは問題なく進められるのですが、コミュニケーションが先生から生徒へ一方通行になりやすい。授業前後の何気ない会話や、休憩時間のちょっとしたやり取りが生まれにくく、教室にいる時のような空気感を作ることが難しいと感じていました。
集団授業の良さは、単に同じ授業を一緒に受けることだけではありません。先生に少し質問したり、友達と話したり、周りの生徒の様子を見ながら「自分も頑張ろう」と思えたりすることが価値だと思っています。Web会議システムでも授業はできるものの、そうした「場」としての機能をどう作るかが課題でした。
ーそうした課題の解決策として、メタバースを選ばれた理由を教えてください。
早稲さま:授業前後のコミュニケーションが円滑にできると考えたからです。
最初は、3Dのメタバースも試しましたが、日常的な学習の場として使うには、通信の負荷が大きすぎると感じました。生徒や保護者の利用環境はそれぞれ異なりますし、運営側も特別ITに強いわけではありません。継続的に使うことを考えると、3Dの空間を安定して運用するのは難しいと判断しました。
ーその中で、oviceを選んでくださった決め手は何ですか。
早稲さま:2Dのメタバースをいくつか比較検討したのですが、空間設計の自由度が一番高いと感じたのがoviceでした。
私たちが作りたかったのは、単に「オンラインで授業を受けられる場」ではありません。学年ごとに雰囲気を変えたり、安心感のある空間を作ったり、生徒が「ここに行きたい」と思える場所です。そのためには、空間を自分たちで設計できる自由度が必要でした。その点、oviceは自由度が高く、私たちが目指す学びの場に合わせて空間を設計できると感じました。
加えて、アバターで近づくという動きがあることで、リアルな教室に近い自然なコミュニケーションが生まれやすいと感じました。
ーいつ頃から、どのようにoviceを活用されているか教えてください。

早稲さま:2025年6月頃から本格的に検討し、空間の設計に時間をかけながら、10月末に正式に導入しました。
受験対策を強化する時期には、22階建てのバーチャルビルにして運用していましたが、現在は5階建てで運用しています。各フロアで授業を受けられるのはもちろん、動画も見られるようにしており、50~60人ほどが利用しています。
ーどのようにフロア分けされているのでしょうか。
早稲さま:1階は外観のみ、2階はエントランスとして案内板を設置しています。3階は不登校の生徒向け、4階は中学生向け、5階は高校生向けのフロアです。オプションの講座の受講生向けに、追加のフロアを作ることもあります。
ー空間のデザインで工夫されたポイントはありますか。

衣川さま:まず、1階の外観は「こんな塾があったら良いな」と思える、近未来な印象のデザインにしました。現実には存在しないような空間を作ることで、バーチャルならではのワクワク感を出すことを第一に考えました。
授業を行う各フロアは、利用する生徒の年齢や目的に合わせてデザインを変え、中学生のフロアは明るくポップな雰囲気に、高校生のフロアは少し大人びた落ち着いたトーンにしました。
今後、本格的に運用していきたいと考えている不登校の生徒の支援用のフロアもあるのですが、そこでは緑を多く取り入れ、外の空気を感じられるような雰囲気にしています。学校に行きにくい子どもたちが集まる場所だからこそ、できるだけ穏やかで安心できる雰囲気を意識しました。
ー生徒たちの反応はいかがでしたか。

衣川さま:「こんなに自然に交流できるんだ!」という声が非常に多かったです。アバターで近づくだけで自然に会話が始まる感覚が、想像以上にリアルに近いと感じてもらえたようでした。アバターで近づいて行けることを楽しんでいる生徒が多かったのも印象的でした。
また、生徒が特別な機器を用意しなくても使える点も喜ばれています。
ー今後、oviceをどのように活用していきたいと考えていますか。
早稲さま:まず通常の授業では、5つの校舎をoviceでつなぎ、それぞれの生徒が必要な授業を届けられる体制を作っていきたいと考えています。
これまでは講師が校舎間を移動して授業を担当することもありましたが、校舎によっては片道1時間半ほどかかる場合もあります。oviceを活用すれば、講師の移動の負担を減らしながら、複数の校舎の生徒に授業を届けることができると考えています。
oviceを活用することで、優秀な講師が特定の校舎にしばられることなく授業を担当できますし、経験の少ない講師が先輩講師の授業を見て学ぶこともできると期待しています。

また、生徒同士の交流や自習での利用も増やしていきたいです。oviceに集まることで、周りの生徒の存在を感じながら学べる環境を作りたいと考えています。分からないところがあれば、その場で先生に質問できる。近くにいる生徒同士で自然に会話が生まれる。そうした仲間の存在を感じられることで、より切磋琢磨できる環境を整えていきたいです。
ー不登校の生徒への支援についても述べられていましたが、今後はどのように支援していく予定でしょうか。
早稲さま:まずは西舞鶴校舎の近くにある不登校の子どもたちが集まるコミュニティスペースと連携しながら、学習の支援を行っていく予定です。
コミュニティスペースに来た子どもたちが、oviceを通じて授業や学習に参加できるようになれば、学びの幅も広がります。将来的には、oviceでの学習を通学として扱えるような仕組みにできるよう、動いているところです。今年度中には、20人ほどの不登校の生徒への学習支援ができたらと考えています。
これと同時に、不登校の生徒達が、自分に合った授業動画を選びやすくするため、AIを活用した動画検索機能の組み込みも進めています。現在、当塾では400本ほどの授業動画を保有していますが、単元名が分からないと、どの動画を見れば良いか分からないこともあります。AIが適切な授業動画を提案できる仕組みをovice内に組み込めれば、「学びたい」という生徒に対して、スムーズに学習が提供できるようになりますし、学びの最初の一歩を支えることができると考えています。