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働き方事例シリーズvol.6「リスキリング」~フレキシブルな働き方が人生の選択を増やす~

(インタビュー・執筆:稲葉めぐみ)
※本編の内容は、すべてインタビュー当時の情報です。

本シリーズでは、ビジネスメタバースの「ovice」を活用し柔軟な働き方を実現している方々の、「働き方」と「生き方」を紹介します。

急速なDX化にともない働き方が大きく変化する中、社員のリスキリングを推奨する企業が増えています。一方で、リスキリングには経費や人的リソースが必要なことから、取り組みに躊躇する企業があるのも事実です。

oViceでは、社内人材を活かしたリスキリングの場として、ovice上で集まって有志の社員が英語を学ぶ「Business English Club(以下BEC)」を設け、社員のビジネス英語スキルや異文化コミュニケーション能力の向上に取り組んでいます。今回は、BECを発案したoViceのCHROと実際に参加するoViceメンバーに、BEC実施の目的や参加後の感想、そしてリスキリングの重要性について話を聞きました。

<参照>リスキリングに関する企業の意識調査|TDB Economic Online

「Business English Club(BEC)」とは
2023年7月から始まったoVice社員を対象にしたビジネス英語クラブ。実施の主な目的として、ビジネス界でグローバルに活躍するために必要な言語スキルと異文化コミュニケーションの習得を掲げる。ランチタイムを利用して隔週で実施される45分間のオンラインレッスンには、日本や韓国、チュニジアなど、異なる地域から複数人が参加している。

リスキリングは企業の成長に有効な「人材戦略」。自社の強みを活かしたエコシステムの構築を目指す

■インタビュイー

Megan Reed/oVice株式会社 CHRO‍
 25年以上に渡る人事領域のキャリアにおいて、アメリカ・アジア・中東・欧州などの様々な国と地域でリーダーシップを発揮し、人事戦略・組織開発をけん引。世界的なテクノロジー企業であるIBMでは15年以上勤務し、グローバル人事責任者などを歴任。その後、豪州の金融系新興企業であるTOA GlobalにてCPO(最高人事責任者)、豪州グリフィス大学のHRエグゼクティブを経て、2022年9月にoVice株式会社CHROに就任。

グローバルテック企業に必要なのは、言語や文化の違いを超えた社員間のコラボレーション

ー社内でBECを開催しようと考えた理由を教えてください。

グローバル企業であるoViceの成長には、社員の共通言語である「英語力」の向上が不可欠だと考えたからです。oViceには、世界各国から優秀な人材が集まっています。スタートアップにとって、多様なスキルや経験を持つ社員の存在はアドバンテージですが、時に異文化コミュニケーションへの理解不足が成長の障壁になる場合もあります。

世界中の同僚、クライアント、パートナーと自信を持って英語で交流し、シームレスなコラボレーションを促すことが、今後のoViceの成長には必要だと感じていました。

oViceの社員は「自己啓発と専門能力の向上」に並々ならぬ情熱を注いでいます。長年、テック業界の人材開発に従事してきた経験から、社員の継続的な能力開発の重要性は理解していましたし、そのために尽力することがCHROの責務だと考えていました。

▲BECの企画運営を行っているCHROのMegan

ー企画する際に工夫した点を教えてください。

参加者に、受講目的や習得したい内容について事前アンケートを実施し、ニーズに即した実践的なカリキュラムを作成しました。その過程で、特に2つのことを重視しました。

1つ目は、ビジネス英語に特化した内容にすることです。具体的には、プレゼンテーションや交渉、ミーティングなど、ビジネスの文脈で必要な言語、語彙、スキルを身につけることに専念しました。

2つ目は、社員が参加しやすい場作りです。仕事やプライベートな時間を削ることなく自主的な参加を促すため、レッスンはランチタイムに開催しました。そして、学習者がミスを恐れず挑戦できるように、心理的安全性の担保にも配慮しました。

ー講師陣はどのように集めたのでしょうか?

oVice社内から英語が堪能な人材を募集しました。そして、英語ネイティブ・スピーカーを中心に「ボランティア・ファシリテーター・チーム」を結成し、参加者の意欲や学習の効果がより高まるように、カリキュラム内容と人員体制を整えていきました。

講師を務めるoVice社員と学習者の双方が、初回から高いモチベーションを持ってレッスンに臨んでくれているため「互いに学びを深める」風土が育っているように感じます。

参加者の75%が「英語力に自信がついた」と回答

ー参加者からは、受講後どのような感想が寄せられていますか?

5回のセッションを経て実施したアンケートでは、参加者全員から「学びがあった」という回答が得られました。しかし最も注目すべきなのは、参加者の75%が「自分の英語に自信がもてるようになった」と回答したことです。

BECでは、英語習熟度を測るための特定の目標設定は行っていません。私達が重視するのは、参加者が英語の実践経験を積み「自信をつける」ことです。私は、母国語以外の言語で堂々と対応できる能力こそが、ビジネスシーンで重要であると感じています。

▲実際のBECの様子

リスキリングは企業の成長に必要な「人材戦略」

ー社内リソースを活用したリスキリングのメリットを教えてください。

第一に、今ある人的資源を活用しながら、企業の戦略目標に沿った社員の育成や能力開発を主導的に行うことができます。更に、社内でのリスキリングは「組織として学び続ける文化」を育む上でも有効です。

企業全体で能力開発を積極的に支援すれば、新たな挑戦をしたりスキルを身につけたりする社員が自然と増え、企業の改革や成長につながります。有効的なリスキリングは、企業と従業員の相互にメリットをもたらす重要な人材戦略の1つと言えるでしょう。

世界各国から人材が集まるoViceは、独自性のあるスキルや文化的な視点が豊富です。今後もoViceの多様性を最大限に活用し、世界中の同僚から新しい知識や能力を継続的に習得できる「リスキリングのエコシステム」を作りたいと考えています。

そういった意味で、BECの実施はoViceが描くリスキリングの未来を実現するための第一歩だととらえています。

バーチャルオフィス oviceの特徴や機能について詳しく見る

多様なメンバーと言語の壁を超えて共創するために。個人と企業の持続的な成長にリスキリングは必須

■インタビュイー

山浦雅香/oVice株式会社 Content Marketer
 2022年4月oVice入社。前職では、店舗支援事業・インバウンド事業を運営する会社でオウンドメディアのコンテンツ企画・編集を担当。oViceでは、コンテンツマーケターとして、事例取材からメルマガ、セミナーレポート等を担当。

「海外同僚との連携」きっかけに英語スキルの不足を痛感、BECに参加

ーBECへの参加理由を教えてください。

きっかけは海外向けのコンテンツに向けて、同僚と情報共有する必要があったことです。

oViceでは、日本以外でのサービス拡大を見据え、英語でのコンテンツも発信しています。約一年前から、英語のコンテンツは、日本語のコンテンツをもとに英語圏のメンバーと相談しながら作っています。しかし、英語コンテンツの前任の担当者は日本語話者ではなく、私自身も相手の回答を咀嚼して英語で提案できる自信が持てていなかったため、細かなニュアンスを伝えることができないという課題を感じていました。

この他にも、専門的知見を持つ方が日本語話者ではないといった場面は多々ありました。より良質なコンテンツ制作には英語のコミュニケーションスキルが必要だと考えていたところ、社内でBECがスタートしたため、すぐに参加しました。

ー初めてBECに参加してみて、どのように感じましたか?

当初のコンセプト通り、「仕事に役立つ英語習得」を目指したカリキュラムになっていると感じました。例えば、日常英会話のレッスンで自己紹介を学ぶ場合、趣味や好きな食べ物、自国の文化について語るだけで終わってしまいがちです。

しかし、BECでは「会社における自分の役割は何か」「自分の業務は事業にどのように貢献するのか」など、ビジネスシーンで求められる自己紹介や表現を学び、実践します。講師は、ビジネスにおける自己紹介で必要となるボキャブラリーや、伝える順番、適切な態度まで解説してくれるため、非常に満足度が高かったです。

▲実際にBECに参加している山浦ビデオ通話画面の右から2番目

ーBECの雰囲気や一緒に学ぶメンバーについては、どのように感じましたか?

良い意味で「ストレートな」英語に触れられると感じています。私の場合、日本語を理解している相手との英会話はスムーズな一方で、日本語を全く知らない英語話者と会話が続かないことが課題の1つでした。

しかしBECは、そういった「日本語への忖度」を感じることなく、英語をたくさんアウトプットできる環境が整っています。私が英語の質問が聞き取れなかったり、すぐに返答できなかったりする場合も、他の参加者が英語で会話をし続けてくれることも有り難いです。

積極的なアウトプットが求められる一方で、講師陣は「テストではないからとにかく挑戦してみて」と鼓舞してくれてるので、リラックスして臨めています。

英語は多様なメンバーとより高みを目指すための共通言語

ー複数回BECに参加する中で、どのような効果を感じましたか?

英語を話し始めるときの「心理的ハードル」が大きく下がりました。例えば、Webサイトの困りごとを海外メンバーに助けてもらった場合など、以前から、感謝を伝えるのはなるべくテキストだけではなくoviceのアバターに近付いて口頭でも伝えるようにしています。

BECで日常的に英語に触れているおかげで、以前は一大決心をして臨んでいたこのような海外メンバーとのちょっとしたコミュニケーションも、今では全く抵抗がなくなりました。

私の場合、部門を横断してメンバーに相談事をする機会も多いので、今後はクラスで学んだアイディアをどんどん活用していきたいです。

ー今後、BECでの英語学習を続ける上での目標はありますか?

「クッション言葉」的なものを挟みながら、より円滑なビジネスコミュニケーションをできる自分を目指しています。

私が英語を使う目的は、英語を介して「共同でコンテンツを創り上げ、メッセージを届けること」です。

今の英語の水準であっても、テキストを用いて自分の要求を相手に伝えることは可能です。しかし私は、口頭でのコミュニケーションを通じて、指摘しあったり励ましあったりする過程がある方が、互いに気持ちを高めあえてよりよい成果を生むことができ、結果的に組織として高みを目指せると考えています。

oViceには韓国やオーストラリア、チュニジアなどグローバルな人材がオンラインで集まり、「ovice」というプロダクトの魅力を磨き上げ、伝えています。英語を共通言語にチームが1つになり、世界の働き方をダイナミックに変える未来にワクワクしています。

▲普段の勤務に加えてBECへも自宅から参加している山浦

個人・企業の持続的な成長において、リスキリングは必須

ーリスキリングの重要性をどのようにとらえていますか?また、英語以外に挑戦したいことはありますか?

働く上でのリスキリングは、社内外で評価を得たり自己実現したりするために必要不可欠だと感じています。私の役割は、コンテンツマーケターとして良質なコンテンツを企画し、そのコンテンツをもって会社の成長につなげることです。そのためには、常に進化するツールやコンセプトにキャッチアップし、使いこなす必要があると考えています。

同時に、収集したデータを読み解くスキル、つまりデータリテラシーにも興味があります。多くの組織同様、oViceにもさまざまなデータが集まっています。今後は、集めたデータをただ眺めるのではなく、ビジネスに有益な仮説立てが自分の力でできるようになりたいです。

BECでビジネスで活かせる英語を学びながら、今後はさまざまな分野のリスキリングを行っていきたいです。

バーチャルオフィス oviceの特徴や機能について詳しく見る

編集後記

今回は「リスキリング」をテーマに、oViceのCHROとメンバーを取材しました。

取材を通して、社員が能動的に行うリスキリングは個人の能力開発に留まらず、企業のパフォーマンス向上や成長に大きな効果をもたらすことが分かりました。

経費や人的リソースの問題から、企業にとって導入のハードルが高いリスキリング。しかし、さまざまな人が自由につながるoviceを使うことで、社内外の人材を最大限に活かしながら「学びの場」を提供できるかもしれません。

このシリーズでは、これからもさまざまな「人生の選択」と「働き方」をご紹介していきます!

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